【シンガポール】後発組の海外展開

KAMOBSこぼれ話 Vol.127

来場者がブースに立ち寄っても、慌てずゆっくりお茶を淹れる。「冷めると味が変わるから」と、作り置きはしない。美味しいお茶が出来上がるまでは、自慢の娘さんが流暢な英語でつなぐ。待ちきれずにブースを立ち去る来場者がいても構わない。あまりお茶ゃには興味がないんだなと判断するだけ。

白川茶を海外の食品展示会で紹介するのは、8月の香港に次いで2度目。香港では、お茶の入った試飲用カップを手にして立ち去る来場者がほとんどだったとか。株式会社菊之園の渡辺和重社長にとっては今回が初めてのシンガポール。白川茶の話に興味を持って聞いてくれる来場者が予想以上に多いと頬を緩める。立ちながらであるがしっかりした商談もできている。すぐにでも始められそうな具体的な案件もあった。帰国後に川霧で頭を冷やしてから、シンガポール市場に向けての動きを再開する。

すでに多くの緑茶がシンガポールでは流通しているなかで、白川茶をどうアピールするか来星前から戦略は練ってきた。後発組は不利だと言われるが、後発組だからこそ出来る訴求の仕方はある。今回は戦略がうまくはまった。

国内では、消費者層の拡大を目的にオンライン販売を強化。また、少しでも若い世代に白川茶を広げたいと、アニメ風のキャラクターをデザインしたパッケージを作成し販売している。今後は海外でも販路を築き白川茶を安定的に輸出したいという。後継者不足に悩む茶園を守りたいという思いも強い。海外展開をすすめることで、少しでも多くの若者が茶栽培にも目を向けてくれたらと渡辺社長。

400年以上続く、茶栽培と白川茶への思いを胸に、ゆっくりしたペースでお茶を淹れる。その傍では浴衣姿の娘さんが来場者と談笑。次の世代に繋ぐため、まずはこの娘さんに白川茶の将来を託してみては? そんなことを思いながら、父娘が奮闘する姿を見つめている。