【シンガポール】 総選挙を前に、外国人受入れ政策が改めてクローズアップ

KAMOBSこぼれ話 Vol.122

ホーカーセンターで昼食をとっていると、同じシャツを着た数名のグループを見かけることが多くなってきた。総選挙を前に各政党の動きが活発になっているようだ。

投票権のない自分に政党のアピールを一生懸命してくれるのだが、少しばかり気の毒に思う。某野党の方は、「シンガポール市民の生活を最優先していきます」と当たり前のように聞こえることを強調してらっしゃった。 残念ながら聞いてるこちらは市民でなく永住権保持者だ。

前回2011年5月の総選挙での争点の一つは、与党・人民行動党(PAP)が推し進めてきた外国人受入れ政策だった。それまで政府が、経済の潤滑油となる外国人労働者を積極的に受け入れてきたことは否めない。

職を外国人に奪われたと主張するシンガポール市民の不満を和らげるため、政府は外国人就労許可の基準を高くしたり、シンガポール人と永住権保持者(永住権保持者は外国籍)との間で差別化を設けたり修正はしてきたが、選挙結果はPAPが87議席中、81議席を獲得したものの、得票率は過去最低の60.1%に留まった。

外国人受入れ政策は、同年8月に行われた大統領選挙でも注目された。トニー・タン元副首相(現大統領)は出馬を表明して以来、1980年代の2度に渡る教育相任務期間中に外国人留学生の受け入れ枠を拡大したなどとして批判された。選挙前には、こうした批判をかわすため、高等教育機関への入学においてはシンガポール人が優先されるべきだと発言した。

総選挙と大統領選挙があった2011年以来、政府による外国人の受け入れ規制はより厳しくなり、飲食店をはじめとするサービス産業は痛手を被っている。今年3月にはエコノミック・インテリジェンス・ユニット(EIU)が、シンガポール政府の外国人受入れ規制に警鐘を鳴らしたほどだ。

日本からシンガポールへの進出を目指す中小企業や個人のビジネスサポートを手がけている者からすれば、そろそろ外国人受入れ規制を緩和してもらいたいと思う。ただ、外国人の流入緩和によって、自分たちが雇用面で不利になると不安を抱く40代50代のシンガポール人も未だ少なくないようだ。

業種によってはシンガポール人の働き手がいないから外国人に頼らざるを得ない企業もあるのだが、先ごろ、人材開発省(MOM)は、シンガポール人の雇用に非協力的で外国人を優先的に雇っている企業に対して、監視を強化し、場合によっては就労許可申請も却下すると発表した。

総選挙を前に、政府から外国人受入れ政策に関連する話がまだまだ沸いてでてくるような気がしてならない。