【東南アジア市場編】 「おもてなし」で観光誘致

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.3

「世界経済フォーラム(WEF)」が6日に発表した最新の「旅行・観光競争力報告書」で日本は調査対象141国・地域の中で9位にランクイン。報告書によると、「文化という観光資源」、「安全」、「衛生」、「交通インフラ」などで高評価を得たという。

「O・MO・TE・NA・SHI」を含めた日本の「文化という観光資源」は、観光誘致を考える上で、今後ますます注目されるだろう。

産経ニュースが5日、日本の文化「おもてなし」で外国人観光客の注目を集めている東京台東区谷中を取り上げている。興味深いのは、地元の旅館を中心に地域一体で外国人観光客に喜ばれる細やかな気配りを心がけていること。外国人観光客が歓迎されていると実感できるのは、日本人の細やかな気配りに触れた時だという。

谷中の地元行事への参加を外国人宿泊客に勧めている旅館「澤の屋」では、来年1月まで予約が埋まっているという。宿泊客のうち外国人旅行者が9割を超える。料金は一人(4,5畳)一泊で5,184円と格安ではあるが、館主は片言の英語で対応し、部屋は和室でバス・トイレなしという環境だそうだ。

訪日外国人の観光誘致に力を入れる地域団体の場合、周辺の観光地とを結ぶ観光周遊ルートを考え、海外市場に売り込むケースが多いように見受けられる。町おこし・村おこしを目的とした訪日外国人の観光誘致では、考案された観光周遊ルートの観光地ばかりが目立ち、その町・村の存在がかすんで見えるケースも少なくない。

観光誘致といいながら、「観光地のxxxに寄ったついでにウチにも寄ってくれないかなあ」という思惑が丸見えで、積極的に誘致になっていないケースもある。やや乱暴かもしれないけども、「あんな所行かなくても、ウチに寄ってくれればこんな良い事があるのに」というぐらいのアピールがあっていいと思うのだが・・・・・。

地域団体が新たな観光周遊ルートを構築することは非常に大切なことだが、それぞれが「わが町」「わが村」の良さを違った角度からアピールできるような動きがとれているのだろうか? 

谷中の場合は、訪日外国人が最も多く訪れる東京に位置するというアドバンテージはあるが、地方の地域団体でも、地域が一体となり「おもてなし」で外国人観光客を呼び寄せることは十分可能だと考える。

最近、インバウンドで町おこしや村おこしを企画するxxxxx推進協議会とかxxxxxx促進協力隊とかいう団体名をよく耳にする。こうした団体の今後の活動に注目したい。

*KAMO CONSULTANCYは東南アジア諸国からの旅行者が求める旅程を考案するインバウンドコンサルタントです

【東南アジア市場編】 団体旅行者の買い物時間

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.2

4月30日に観光庁が発表した1-3月期の一人あたりの旅行支出額をみると、中国が前年比20.9%増加で30万円を超えて他を圧倒。訪日中国人旅行消費額(一人あたりの旅行支出額×訪日外客数)も前年比133.7%増の2,775億円で全体の約40%を占めた。

2015ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされるだろう(?)「爆買い」については、費目別旅行支出をみれば言葉通りであることが一目瞭然。訪日中国人一人あたりの買い物代は17万6,975円と唯一10万円を超えている! 2番目に多い香港でも7万1,905円だから、抜きん出ていることがわかる。「爆買い」の恩恵を受ける企業にとっては中国人観光客・円安さまさまの状況だ。

東京にやってくる中国人観光客の旅程を見ると、銀座は必ずと言っていいほど組み込まれている。時間も少し長めに取られているような気がするが、ショッピングに夢中の中国人観光客には十分でないのか、バスの運転手や同日の宿泊先に到着が遅れることを電話で伝えるガイドをあちらこちらで見かける。

一方、東南アジアからの団体客の旅程を見ると、銀座は必ずしも旅程に組み込まれてはいないようだ。決して彼らが買い物に興味がないわけではないが、買い物先が銀座である必要はないのだろう。買い物目的としては大阪・心斎橋や御殿場やりんくうのプレミアムアウトレットが定番になっているようだ。

「爆買い」には程遠いが、タイをはじめ東南アジアからの訪日外国人の一人あたりの買い物代も増加している。間違いなく買い物は好きなのである。ただ、これら団体客の旅程をみると1日1日のスケジュールが過密だったり、移動時間が長かったりして、どうみても十分な買い物時間があるとは思えないケースが多い。

昨年、御殿場のプレミアムアウトレットで、帰りがけの団体旅行者に買い物時間について聞いてみたところ、「短すぎて、ちゃんと買い物ができなかった」という回答が非常に多かったのを思い出す。「時間があったら、買いたいものがもっとあったのに・・・・・・」と不満をぶちまけるインドネシア人グループの怒りに満ちた表情が印象的だった。 こうした観光客のフィードバックから、プレミアムアウトレットでは売り上げの取りこぼしが発生していたことが理解できる。

こうした事情を企業が把握し、売り上げの取りこぼしを最小限に抑える対策を打ち出せば、円相場が円安で推移している限り、東南アジアからの訪日外国人1人当たりの買い物代は間違いなく上昇するはずだ。中国人観光客による「爆買い」とまではいかないだろうが、東南アジアから日本を訪れる観光客のspending powerは侮ることができない。

*KAMO CONSULTANCYは東南アジア諸国からの旅行者が求める旅程を考案するインバウンドコンサルタントです

【東南アジア市場編】 海外市場の旅行形態

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.1

日本政府観光局(JNTO)が4月22日に発表した3月の訪日外客数は、前年同月比45.3%増の152 万6 千人で、初めて単月で150万人を突破。

円安継続、ビザ発給緩和、桜、消費税免税制度の拡大などが主因のようで、4月も引き続き桜を目的とした訪日旅行需要の拡大が見込まれるという。なんと景気のいい話だろうか!

4月10日には「広域観光周遊ルート形成計画」の公募が開始された。増加する訪日外国人旅行者を地方にも呼び寄せ、地域の活性化につなげたいとする地域活性化促進事業だが、考えてみても面白そうな旅程が浮かんでくる。ただ、こういうものも旅行形態を考慮する必要性がありそうだ。

JNTOの統計によれば、シンガポールをはじめとした東南アジアの主要市場のほとんどは旅行形態として個人旅行が多い。個人旅行の外客全体における割合は2012年に61.6%占めていたが、2013年には77.4%と拡大。個別にみても2013年、インドネシア人は80.6%、ベトナム人は81.3%が個人旅行で訪日しており、外客全体の割合を上回っている。つまり個人旅行がトレンドだとみてとれる。広域観光周遊ルートを考えたときも、個人旅行者に対するものであれば選択肢も多くなりそうだ。

こうした事情をどこまで把握しているかわからないが、海外での観光誘致となると少し様子が違うような気がする。シンガポールを含めた海外での促進事業では、現地で開催される旅行見本市に出展する団体を多く見かける。ただ関係者のなかには旅行見本市も多様化する海外旅行のニーズに追いついていけてないのではとの見方がある。個人旅行が増加したことやオンライン旅行予約サイトの台頭により、旅行代理店が集結して開催している旅行見本市が以前ほど魅力的でなくなってしまったのか・・・・・・。

6月のSchool Holidays前になると必ず、1,2件シンガポール人からホテル予約の代行の依頼がある。「エクスペディア」では地方のホテルの情報がなく、日本の(日本語による)オンライン予約サイトに頼らざるを得ないというのが理由のようだ。外国人向けに観光誘致する側も海外市場の旅行形態について、もっと注視すべき時ではなかろうか?

*KAMO CONSULTANCYは東南アジア諸国からの旅行者が求める旅程を考案するインバウンドコンサルタントです