【東南アジア市場編】 団体旅行者の買い物時間

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.2

4月30日に観光庁が発表した1-3月期の一人あたりの旅行支出額をみると、中国が前年比20.9%増加で30万円を超えて他を圧倒。訪日中国人旅行消費額(一人あたりの旅行支出額×訪日外客数)も前年比133.7%増の2,775億円で全体の約40%を占めた。

2015ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされるだろう(?)「爆買い」については、費目別旅行支出をみれば言葉通りであることが一目瞭然。訪日中国人一人あたりの買い物代は17万6,975円と唯一10万円を超えている! 2番目に多い香港でも7万1,905円だから、抜きん出ていることがわかる。「爆買い」の恩恵を受ける企業にとっては中国人観光客・円安さまさまの状況だ。

東京にやってくる中国人観光客の旅程を見ると、銀座は必ずと言っていいほど組み込まれている。時間も少し長めに取られているような気がするが、ショッピングに夢中の中国人観光客には十分でないのか、バスの運転手や同日の宿泊先に到着が遅れることを電話で伝えるガイドをあちらこちらで見かける。

一方、東南アジアからの団体客の旅程を見ると、銀座は必ずしも旅程に組み込まれてはいないようだ。決して彼らが買い物に興味がないわけではないが、買い物先が銀座である必要はないのだろう。買い物目的としては大阪・心斎橋や御殿場やりんくうのプレミアムアウトレットが定番になっているようだ。

「爆買い」には程遠いが、タイをはじめ東南アジアからの訪日外国人の一人あたりの買い物代も増加している。間違いなく買い物は好きなのである。ただ、これら団体客の旅程をみると1日1日のスケジュールが過密だったり、移動時間が長かったりして、どうみても十分な買い物時間があるとは思えないケースが多い。

昨年、御殿場のプレミアムアウトレットで、帰りがけの団体旅行者に買い物時間について聞いてみたところ、「短すぎて、ちゃんと買い物ができなかった」という回答が非常に多かったのを思い出す。「時間があったら、買いたいものがもっとあったのに・・・・・・」と不満をぶちまけるインドネシア人グループの怒りに満ちた表情が印象的だった。 こうした観光客のフィードバックから、プレミアムアウトレットでは売り上げの取りこぼしが発生していたことが理解できる。

こうした事情を企業が把握し、売り上げの取りこぼしを最小限に抑える対策を打ち出せば、円相場が円安で推移している限り、東南アジアからの訪日外国人1人当たりの買い物代は間違いなく上昇するはずだ。中国人観光客による「爆買い」とまではいかないだろうが、東南アジアから日本を訪れる観光客のspending powerは侮ることができない。

*KAMO CONSULTANCYは東南アジア諸国からの旅行者が求める旅程を考案するインバウンドコンサルタントです