【シンガポール】 各市場向けの商品開発を

KAMOBSこぼれ話 Vol.124

海外から集結したバイヤーと商品をアジアの市場に売り込みたいという日本のメーカー数社との面談が行われ、メーカー自慢の商品に冷ややかな意見が相次いだ。

ファッション関連商品では価格設定が高すぎて扱えないという意見がもっとも多かったほか、食品では短い賞味期限や明らかに輸入規制にひかかる商品などがバイヤーを困惑させた。 

また、日本国内では需要があるのだろうが、東南アジアの多くの市場では全く需要がないとしか思えない商品もあり、海外に売り込みたいという本気度が全く伝わってこなかった。

単純に国内市場での需要拡大が見込めないので海外市場を狙うという発想だけではなんともならない。 タイから参加したバイヤーの一人は、アジア市場を狙っているとは思えないほど各国の情報や知識がなく、まったくマーケティングができていないと肩を竦めた。 

インドネシアのバイヤーは、日本で人気があるからという理由だけで、インドネシアの生活水準や所得の違いを考慮せず売り込もうとするのはナンセンスだと呆れた表情をみせた。

マレーシアのバイヤーも、各メーカーがどこの市場を対象にしている商品なのかさっぱり理解できなかったそうで、すくなくともマレーシア市場で売り込めそうな商品はほとんど見当たらなかったという。 

日本の多くのメーカーは漠然とした海外の市場を想像しているだけで、市場ごとに違いがあることすら理解していない。 だから、「この商品はスペインで評判が良かったから、シンガポールでも受け入れられるはずだ」という妄想を抱き続ける。

東南アジア市場を狙っていると言っても、国ごとに市場の特徴があり、ファッション市場として考慮すべきファクターも違うことから、「東南アジア市場」と一括りにするのもどうかと思う。

日本のファッション関連商品であれば、そのクオリティーの高さは皆が認めるところであり、日本食品であれば誰もが美味しいことは理解してくれる。 ただ、外国人の目からみると良いものが売れるという見方をしていないことが良く分かる。

面談後、タイ、インドネシア、マレーシアからきたファッション関連商品のバイヤーがおのおの感想を述べる。日本人はどうしてあそこまで労働時間を費やしてコストをかけるのか? 香港からきた食品バイヤーが言う。手作りが美味しいことはわかるけど手間隙かけてコストが高くなることをどう思っているの?

なかなかアジアの方々には、手間がかかっているから価格が高いという発想は理解してもらえないのかもしれない。 「日本製品は良い。確かに良いものは良い。でも私の国では売れるとは限らない」というタイからきた女性バイヤーの一言が忘れられない。

【東南アジア市場編】 観光誘致する側の受け入れ体制

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.8

外国人観光客の急増で関西空港の入国審査が追いついていないようだ。産経ニュースの記事によると、到着から全ての審査が終わるまで2時間もかかった外国人観光客もいたという。

今後は、中国、韓国、台湾からだけでなく、東南アジアからの観光客の増加も見込まれる。また、政府は2020年東京五輪に向け訪日外国人2,000万人の受け入れを目指している。そのような国であれば入国審査ゲートを増設して審査官を増員することぐらい難しくはないはずだ。

このところ、シンガポール、香港、韓国、中東においては、旅客処理能力を高める目的で空港規模が拡大されてる。チャンギ空港では第4ターミナルも完成していないのに、建設が計画されている第5ターミナルの規模拡張の話が持ち上がっているほどだ。

観光誘致で根本的に考えなければいけないことの一つに誘致する側の受け入れ体制がある。観光庁は「平成27年度訪日プロモーション方針」を打ち立てたが、団体ツアーの調査に携わっていると、今回の関西空港の問題をはじめ、宿泊施設の旅客収容能力は十分なのだろうかとか、団体ツアー用の観光バスの数は足りているのだろうかという素朴な疑問を抱いてしまう。

桜シーズン中、タイをはじめインドネシア、ベトナムなど東南アジアの国からも多くの観光客が日本にやってきたが、日本の各旅行代理店はホテルやバスの予約にかなり苦労したようだ。

実際、ゴールデンルート後半2日間の観光スポットが関西エリアであったにもかかわらず、岐阜での宿泊を余儀なくされた団体もあったし、観光バスの確保ができず、宿泊先のホテルの専用バスを利用したというケースもあったほどだ。それもこれも受け入れる側(日本)の需要に対する供給不足が露呈したもの。

日本政府は東南アジアに向けては、複数の国でビザを免除し、訪日への敷居を低くしてきた。また、多くの国(市場)で観光誘致のプロモーションを継続的に行ってきた。しかし、こうした動きに見合う国内の観光地域・観光業界へのサポートは十分だったのだろうか?。

7月はイドゥル・フィトリ(断食明け祝日)からの連休を利用して、多くのインドネシア人の訪日が見込まれる。入国審査に時間がかからないこと、ホテルやバスが問題なく予約されていることを祈っている。

*KAMO CONSULTANCYは東南アジア諸国からの旅行者が求める旅程を考案するインバウンドコンサルタントです

【東南アジア市場編】 夏の商品には暑さ対策の考慮を

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.6

6月を前に、日本各地で30度以上を記録している。7月の出張を考えると既に憂鬱だ。昨年は7月末から1週間ほどの出張で、東京・大阪・京都を回った。暑い日が続き、特に京都のうだるような暑さに閉口した。

京都ではインドネシア人団体客に同行し、観光スポットを回ったが、金閣寺では写真を撮りおわるとすぐに駐車場に向かい、清水寺では暑さと坂道で体が思うように動かず拝観を断念するツアー参加者もいた。

赤道直下のインドネシアは、熱帯性気候に属し、乾季になると非常に蒸し暑い。そんな国からやってきた観光客でさえも、日本の夏の暑さには適わない様子だった。

日本では各地で、外国人観光客向けに、暑さへの対処法を複数の言語で知らせる動きもみられる。とても重要なことだと思う。それと同時に観光誘致の観点からは、旅程の観光スポットに「涼しさを感じさせてくれる場所」を組み入れて、他の商品との差別化を図るのはどうかと考える。

日本人でも、真夏になると涼を求めて避暑地に足を運びたくなる。夏だからこそ味わえる「涼」。各季節の風物詩は四季のない国の人の目にも魅力的に映るだろう。避暑地での夏の風物詩も十分楽しんでもらえると思う。

昨夏、京都の観光スポットで、汗びっしょりになりながら、苦痛な表情を浮かべていた外国人観光客をみて、本当に気の毒に思ったものだ。「夏に日本に来るなら、ここじゃないくて、もっと沢山いいところがありますよ」と、どれほど伝えたかったことか・・・・・・。

「日本は大好きだけど、夏は暑すぎる! 夏以外にお勧めの時期はいつですか?」と、両親とツアーに参加していた華人系インドネシア人3姉妹に聞かれた。ツアーのエスコートとガイドを尻目に、「観光スポットを少し変えるだけで、どの時期でも楽しんでもらえますよ」と、うちわを仰ぎながら回答。

今年の7月も、17日・18日のイドゥル・フィトリ(1436年断食明け)とその前後の政令指定休日の連休を利用して多くのインドネシア人観光客が日本を訪れるだろう。できれば、多くの方々に真夏の涼を感じてもらいたい。

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【東南アジア市場編】 タイトな日程から「ゆっくり」「のんびり」へ

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.5

日本政府観光局(JNTO)が5月20日に発表した4月の訪日外客数は、前年同月比43.3%増の176万4000人で、3ヵ月連続で単月での最高記録を更新した。

東京、富士山、京都、大阪を回る旅程、いわゆるゴールデンルートは、相変わらず東南アジア市場では人気のパッケージツアーとなっているようだ。限られた滞在期間で、出来るだけ多くの観光地を回るという商品は、はじめて日本を訪れる外国人観光客の目から見たら、とても魅力的に映るだろう。

ゴールデンルートは、ツアーを取り扱う代理店が同じであれば、それぞれの観光地で立ち寄るスポットもほぼ同じである。しかし、現実的には全てのスポットに立ち寄ることは非常に厳しい。そこで、過密なスケジュールをどう端折るかは、交通状況や天候などを考慮し、ガイドとエスコートが話し合い決めているケースが多い。

そのせいか、帰国後にツアー内容について旅行代理店にクレームをつける外国人観光客もいるとか。「もう少しゆっくり観光スポットを回りたかった」、「日程表が変更され行きたかったところが行けなかった」、「どこに行っても急がされる」というようなフィードバックも多いようだ。

JNTOの統計でも明らかなように、訪日外客数は増加傾向にあり、ゴールデンルートの観光スポットは、これまで以上に混雑が予想される。マスを対象としたツアーにおいても、多くの観光スポットを次から次に足早に移動するパッケージツアーには限界があるのではないかと思う。

公にされている統計はないと思うが、少なくとも東南アジア諸国(恐らく他の市場も同じだと思うが)から団体ツアーで日本に観光でやってくる旅行者は歩くスピードもやや遅めの年配の方が多い。しかも、敢えて言わせてもらえば、集合時間に遅れることへの罪悪感のない方が多い。

4月上旬、成田空港と関西国際空港の出発ロビーで、インドネシア人・ベトナム人の観光客にゴールデンルートの感想を聞いてみた。
-スケジュールが変更され、行きたいところに行けなかった(インドネシア人)
-後半の京都では、疲れからバスの中で休憩し、金閣寺にも清水寺にも行けなかった(インドネシア人)
-買い物時間が短かった(ベトナム人)
-どこにいっても急いで行動するよう言われた(ベトナム人)
-もっとのんびりしたかった(インドネシア人・ベトナム人)

今後は、東南アジア市場でも「ゆっくり・のんびりしたい」というニーズが高まると予想している。ゴールデンルートでは味わえない「ゆっくり」「のんびり」を強調したツアーを商品化し、各市場にPRする観光誘致も考えていきたい。

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