【東南アジア市場編】 タトゥーと入浴規制について

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.13

正直、東南アジアからの訪日客に同行していてもあまり感じないが、温泉を観光目的として日本にやってくる外国人観光客が増加傾向にあるそうだ。そんな中、タトゥー問題で頭を抱える温泉地が多いという。

8月6日付け産経ニュース(ウェブ)でも、【日本の議論】のなかで、タトゥーのある外国人観光客に対する温泉施設の苦悩ぶりや今後の対処法について意見が述べられていて非常に興味深い。個人的には、明確な情報さえ提供していれば、入浴を拒否するところ、許可するところそれぞれあっていいと思っている。

この記事でも紹介されているが、「タトゥースポット」というウェブサイトをのぞくと、タトゥーがあっても利用できる温泉・銭湯・サウナなどは意外と多いと感じる。現時点で、204の温泉施設や580を超える銭湯の情報が提供されている。

一方で、苦肉の策として、タトゥーをテープで覆い隠せば入浴を認めるという旅館やホテルもあるようだが、いっそうのこと入浴を拒否してもいいのではないかと思ってしまう。街角で見かける体の広範囲がカラフルな若者を見ていると、隠すのにも限界があるような気がしてならない。 

タトゥーをいれている華人系シンガポール人/マレーシア人は多い。タトゥーをファッション感覚でいれているのであれば、そのファッション性を疑わずにはいられないようなカラフルなものも目立つ。幼い顔をしているのに体中が刺青だらけの若者を見かけることも、ここシンガポールでは珍しくなくなった。常夏の国の服装のせいか、むしろ目立つほどだ。

こうした華人系シンガポール人/マレーシア人が日本で温泉を楽しみたいというのなら、残念ながら日本語表示しかないウェブサイトだが、「タトゥースポット」でがんばって情報を収集してもらいたい。

日本への温泉旅行を計画している家内の姪が、一緒に旅行する同僚の何人かがタトゥーを入れているというので、「タトゥースポット」を紹介してやった。どうしても皆で温泉を楽しみたいという彼女から、ちょくちょく翻訳の依頼がある。

日本語のわからないシンガポール人の姪に翻訳料でも請求してやろうか? それともこのウェブサイトの管理人に外国語表示の設定を提案してみようか?

*KAMO CONSULTANCYは東南アジア諸国からの旅行者が求める旅程を考案するインバウンドコンサルタントです

【東南アジア市場編】 市場の特徴と旅行消費者のツボ

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.12

海外における観光PRには、その市場の特徴を把握し、その市場の旅行消費者のツボをつく訪日プロモーションが必要不可欠だ。

東南アジアの主要市場では、具体的にどんな特徴を押さえておくべきか? 対象がマスなのか、リピーターなのかという点はあるが、まず需要取り込みが期待できる長期スクールホリデーや宗教関連の政令指定休日による連休の時期をしっかり把握する必要はある。

例えば、シンガポールでは6月と12月の2回、マレーシアでは12月にそれぞれ1ヵ月以上のスクールホリデーがあり、この期間は子供を連れて海外に出かける旅行者が増える。また、タイではソンクラーン休暇(4月)、インドネシアでは断食明け休暇(7月)に海外旅行を楽しむ人が多いように、訪日客が見込める時期が市場(国)によって違う。

そして各市場の旅行消費者の特徴として宗教的側面にも目を配るべきだと思う。仏教国として知られるタイやミャンマーからの観光客には鎌倉の大仏をはじめ、日本で仏教を感じるスポットが人気のように、信仰する宗教が違えば、訪れてみたい場所にも違いが出てくることは予想される。また、食事規定についての知識も当然必要となる。

更に宗教で言えば、ムスリムの多いインドネシアやマレーシアでは、どこに対象を絞るか? 圧倒的マジョリティーであるイスラム教徒の市場を開拓するのか、訪日旅行者が多いイスラム教徒以外の市場に焦点をあてるのか? 同じ国とはいえ、宗教の違いにより別々の市場が存在することを頭に入れておくべきだ。

また、東南アジアからの訪日旅行者は比較的富裕層が多いと言われているが、彼らの動向を調査しいていると、国民性による趣向の違いを感じることができる。

東南アジアからの観光客は買い物好きが多いが、ブランド品の買い物を好むインドネシア人に対して、タイ人やマレーシア人は100円ショップやディスカウントショップを好むようなところが見うけられる。また、シンガポール人はローカル色の強いスーパーマーケットや商店街のようなところをより好む傾向があるようだ。

そして、東南アジアからの訪日旅行者の行動範囲を見てみると、日本語を理解できる旅行者は別として、英語を公用語とするシンガポールやフィリピンからの旅行者は、それ以外の旅行客と比較すると行動範囲が広いように思える。これは実際、言語による情報量の違いとも関連性があるのかもしれないが、彼らはより体験型イベントを好むようなところも見られる。

東南アジアの旅行消費者への観光誘致にあたっては、各市場の特徴や消費者の趣向を考慮し、日本でしか味わうことができない季節感(四季)、名所、文化、食事等をうまく織り交ぜてた商品を開発したい。

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【東南アジア市場編】 空港からのアクセスを考えた観光誘致

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.11

外国人観光客の誘致を目的に、到着空港からの移動手段を組み入れた商品化が進んでいる。

主要空港から距離がある地方までの移動手段の一つにレンタカーがある。 先月から、このレンタカーの料金と高速道路乗り放題パスを組み合わせた「ドライブ旅行商品」が販売されている。

この「ドライブ旅行商品」は、岐阜県と連携し、中日本高速道路株式会社(NEXCO)が販売。外国人観光客に、レンタカーで岐阜県内の観光地めぐりを楽しんでもらおうという狙いがある。レンタカーは中部国際空港または名古屋駅からトヨタレンタリースを利用。販売価格は、税込みで4日間34,900円、 5日間43,300円とお値打ちだ

かつて岐阜県は、中部国際空港から出発できる複数のレンタカーが、英語で表示・音声案内可能なカーナビを備えていたことに着眼。すでに個人旅行が旅行形態の過半数以上を占めていたシンガポールを対象に、レンタカーによる県内周遊をプロモーションし成果を上げている。

外国人観光客によるレンタカーでの観光は北海道や九州では定番のようだが、今後は本州や四国各地でも需要が高まるのではないかと考える。

また、限られた期間内に多くの観光地をまわってみたいという主に東南アジアからの旅行者には、ジャパンレールパス(JRパス)も同時に勧めたい。

JRパスは、主に外国人観光客が、JRの鉄道・路線バスを期間内に自由に利用できる特別企画乗車券だ。普通車7日間の大人料金が29,110円だから、こちらもかなりお値打ちと言えよう。 

JRパスは、主に新幹線の利用がメインになるかと思うが、地方の鉄道や路線バスの明確な情報提供によっては、外国人観光客の行動範囲も大きく広がりそうだ。

地域活性化促進事業として外国人観光客を呼び寄せたい地域としては、観光誘致に、この特別企画乗車券をうまく利用しない手はない。シンガポールでは鉄道やバスでのリラックスした旅も紹介される頻度が多くなってきている。路線からしか見えない風景、その地方ならではの駅弁なども含め観光資源としての情報が流れている。

東南アジアから訪日旅行者は、個人旅行が多くリピート率が高い。彼らのニーズに応えるためにも、空港からのアクセスを考慮した観光誘致は今後ますます注目されると思う。

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【東南アジア市場編】 子供連れ旅行者を対象に!

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.10

日本政府観光局(JNTO)の調査報告によると、東南アジア主要国の訪日旅行形態は個人旅行が圧倒的で、スクールホリデーや連休には子供連れ旅行客が多くなる。

子供を喜ばせたいと、行き先にディズニーランド(TDL)、ディズニーシー(TDS)、あるいはユニバーサル・スタジオ(USJ)を選択する親は少なくない。ただ、2回目以降の観光では、子供たちをどこに連れて行ってあげたらいいものかと、あれこれ調べてみるものの結論がなかなか出せない親も少なくなさそうだ。

以前、東南アジアの国からの子供連れ旅行者を対象に聞き取り調査をしたとき、子供の意見は反映されているかどうかは別にして、次回の訪日では、まだ一度も訪れたことのない場所を回りたいという回答が多かったことを思い出す。 

今年の12月に、長期スクールホリデーを利用して日本を訪れるシンガポール人の知人がいる。昨年の12月はゴールデンルートを選択し、4人の娘とTDL、TDS、USJ全てを満喫したそうだ。

すでに6人分のシンガポール-羽田間往復チケットは購入済みだが、12日間のスケジュールは何もうまっていない。そんな知人から、先週末、子供が喜びそうな12日間の旅程を考えて欲しいと頼まれた。

とりあえず、昨年の旅程を教えてもらい、子供たちがどんなことに興味あるのか聞き出す。まずは、ありきたりだと言われそうだが、ウインターシーズンということで、雪やスキー楽しめる場所をいくつか候補として挙げる。 しかし、それ以外は、なかなかすぐには頭に浮かんでこない。

“家族旅行”というキーワードで検索するだけで、日本人向けの旅行サイトなら340万件以上がヒット。これらの情報が英語や中国語で提供されていたら自分の出る幕はないだろうと思いながら、4人娘のために情報収集に励む日々が続く。

シンガポールをはじめマレーシア、インドネシアからの訪日外客数はリピート率が高く、子供連れ家族が多い。 こうした特徴を理解し、子供連れ旅行者を対象とした観光誘致のあり方についてもより深く考えてみたい。

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【東南アジア市場編】 インターネットを通じた情報発信のあり方

★訪日外国人の観光誘致を考える Vol.9

日本政府観光局(JNTO)は17日、5月の訪日外客数(推計値)を発表した。通常5月は桜シーズンと夏休みシーズンの狭間で、伸び率が鈍化すると言われてきたが、今年の5月は前年同月比49.6%増の164 万2,000人と好調を維持した。

東南アジアからの訪日外客数も前年同月を大きく上回り、5月単月としては主要市場全ての国で過去最高を記録した。継続的に開催しているキャンペーン/プロモーションイベント、旅行フェアへの参加、インターネットを通じた情報発信などが好成績に繋がっている。

東南アジア市場では、インターネット/スマートフォンの普及率がまだまだ高くなることが予想され、今後はインターネットを通じた情報発信が訪日外客数の増加に、より大きく貢献するのではないかと、今更ではあるが注目している。

東南アジア市場向けにも、以前からYoutubeやFacebookなどを利用して観光情報は提供されてきた。最近では、ブロガーなどのインフルエンサーを招聘した観光誘致なども企画されているようだ。

インフルエンサーそのものの影響力については正直よくわからないが、市場先の共通言語による観光スポット情報がブログを通じても広まることは十分想像できる。

先々月、大阪は心斎橋でベトナム人観光客にゲートタワービルへの行き方を聞かれた。若い女性がスマートフォンから、高速道路が貫通しているビルの写真を見せてくれた。同ビルを知るきっかけは、彼女の友人が投稿したブログ記事。大阪を訪れたときに撮影した同ビルの写真を先進国を象徴した建造物として紹介したようだ。

同団体ツアーのエスコートによると、海外旅行に興味があるベトナム人は、旅行者が実体験をもとにブログやFacebookに投稿する記事に強い関心を示すようになってきているという。

観光誘致戦略の一環として、インターネットを通じた情報発信を行う場合は、勧誘する側の一方的な情報だけでは不十分なんだろう。トリップアドバイザーやエクスペディアのように旅行者の生の声が必要なんだと思う。

外国人観光客に地域の魅力をウェブ上で伝えてもらえるような仕組みをもっと考えてみたい。

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健康志向に逆行する人気食

タキイ種苗株式会社が、日本在住の20~70代、112名の外国人を対象に実施した「日本の食文化に関する意識調査」の結果が非常に興味深い。

「日本食の素晴らしいところ」という質問には、58%が「カロリーが低くてヘルシー」、「栄養バランスに優れ、健康的」と回答(第3位)しているのに対して、「自分の国の人におすすめ出来る、美味しいと感じる日本食」の問いには、76.8%が「ラーメン」と回答(第1位)している。

「美味しいと感じる食べ物」が食の健康に関する外国人の興味を反映した結果となっていない点がおもしろい。出身国別の調査結果はないが、宗教・文化上の食事制限がない外国人であれば、東南アジア諸国出身者の回答も概ね似たような結果だったのではないかと想像する。

東南アジアでもシンガポールを中心に、食の健康志向が高まってきていると言われる。 健康促進局なるものが、新鮮な野菜の摂取を勧めたり、塩分の取りすぎないように注意を促している。 シンガポールの小学校・中学校では専門化のアドバイスを受け、栄養バランスのとれたセットメニューを提供する動きも見られる。

しかし、飲食店やスーパーマーケットを見る限り、健康志向の高まりに影響を受けたメニューや商品はほとんど目にしないのが現状だ。

シンガポールの食品輸入業者でも、健康志向を口にするのは青果物を取り扱う業者ぐらいで、あとは健康志向が高まっていることは認識しているものの、需要の高い食品・食材に影響を及ぼすには至らないと考えているところが見うけられる。

こってり味のラーメンを口にしながら、某輸入業者と健康志向について雑談。「健康志向だけに捉われていたら、シンガポールの外食は絶滅するね」と口にする某業者。

こってり味のスープを飲み干した若い女性客を横目に、東南アジア市場での販路構築を目指す生産者・メーカーの方々が、わざわざ健康志向に合わせて商品を選択する必要は現時点ではないと確信した。

【シンガポールニュース】 2014年に参入した小売ブランドは58社、世界で2番目の多さ

事業用不動産サービス提供会社大手CBREの調べによると、2014年にシンガポール市場に参入した小売ブランドは58社で、東京の63社に次ぎ世界で2番目の多さだった。

シンガポールに新たに進出した小売ブランドの数は2013年の2倍。 進出を後押ししたのは、人気商業地区オーチャードで、新たなショッピングセンターOrchard Gatewayが完成したことと、同地区内のShaw Centreが小売部門を大々的に改装したことが主因のようだ。

CBREは50ヵ国164都市を対象に調査しランキングを発表。アジア市場は新規参入する小売ブランドにとって魅力ある市場で、トップ15都市のうちアジアの6都市がランクインした。

多くの小売ブランドはシンガポールを東南アジア市場へのテストマーケットと位置づけており、東南アジア全体が巨大な消費市場になると期待をしている。